こんにちは。りょうです。
みなさんは学生時代の英語の授業にどんなイメージがありますか。
多くの人は「英語の文法や長文の読解を日本語で説明された」記憶があるのではないでしょうか。
そこで今回は、そんな授業に疑問を持って「自分は英語の授業をオールイングリッシュでやってみたい!」とやる気にあふれている教員の方向けの記事です。
- オールイングリッシュ授業のメリット
- オールイングリッシュ授業デメリット
- オールイングリッシュ授業デメリットを補う授業
- オールイングリッシュ授業体験
このへんに興味があるあなた、続きをどうぞ。

目次
オールイングリッシュ授業の状況
学習指導要領でのオールイングリッシュ授業に関する文章がこちら。
「生徒が英語に触れる機会を充実させるとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、授業は英語で行うことを基本とする。その際、生徒の理解の程度に応じた英語を用いるようにすること。」
こう掲げられています。学習指導要領で明記されているわけですね。
次にオールイングリッシュ授業の実施状況です。
文部科学省による「英語教育実施状況調査(H25)」によると
- 発話をおおむね英語で行っている
- 発話の半分以上を英語で行っている
教員の割合が以下のように示されています。
思ったより多くの教員が英語を使って授業をしていることがわかりますね。とはいえ調査では「おおむね・半分以上英語」の割合なので、実際オールイングリッシュの割合はもう少し低くなりそうです。
(いくつかの高校で勤務した実感としては、もっと低いと感じてはいますが)
様々な調査がありますが、中高ともに学年が上がるほど英語使用割合は減っている点は共通しているようです。
ちなみに中学校では、2021年度からオールイングリッシュ授業が基本となります。
高校では2022年度からオールイングリッシュ授業となります。
オールイングリッシュ授業メリット
オールイングリッシュ授業でのメリットです。
英語モードの授業ができる
入室から英語で話していれば自然と英語モードの授業ができます。
生徒のほうも最初から英語と決まっていれば、発言を英語でしたりとそれなりに英語モードに入ってきてくれます。
「英語の授業は英語で進む」というのを早くから徹底しましょう。
英語に触れる機会が増える
いまやネイティブの先生方がする授業があるのも当たり前になってきましたね。
とはいえ、週に1回程度では英語に触れる機会としては少なすぎ。
そこで毎日のようにある日本人教員による英語の授業がオールイングリッシュ授業でできれば、生徒たちが学校で英語で触れる機会は格段に増えます。
ネイティブの授業にもいい効果が出そうですね。
リスニング力があがる
オールイングリッシュ授業では生徒のリスニング力が向上します。
細かなところまで聞き取れるわけではなく、あくまで「なんとなくの雰囲気」で聞き取ることに慣れている感じではありますが。
それでも普段の授業でずっと英語を聞く習慣が積み重なれば、試験や入試などでも力を発揮できるでしょう。
簡単な指示語など使えるようになる
オールイングリッシュ授業で使う指示語を徹底して固定すれば、生徒も覚えて使うようになります。
教室に掲示しておいて、いつでも発言できるようにしておくのもいいですね。
オールイングリッシュ授業デメリット
ではここから、よく言われているオールイングリッシュ授業のデメリットをあげてみます。
英文法の説明は日本語のほうがスムーズ
英文法は日本語で説明したほうが理解が早いです。日本人は日本語を理解できるっていう特権があるので、それは最大限活用すべきです。
英文法を英語で説明して理解できるのは相当高い英語力の持ち主のみ。
例えば動詞は英語で verb ですが、この場合国語でも習っているであろう「動詞」という日本語で説明したほうがわかりやすいことは明らかですね。
日本語で英文法を理解したうえで、オールイングリッシュ授業の中でその文法をくり返し使いまくるのが理想です。
教員が英語力に自信がない
デメリットというよりオールイングリッシュ授業にふみ切れない原因ですね。
さっきの学習指導要領での
「生徒の理解の程度に応じた英語を用いるようにすること。」の部分にご注目。
生徒が理解できる範囲での英語で進めるべきなんです。
発音が良いのに越したことはないですが、ペラペラである必要はありません。
ただペラペラ英語を話すだけの授業は、教員の自己満足に終わってしまいます。
理解できない生徒がやる気なくす
生徒のためにとオールイングリッシュ授業をするんですけど、やっぱりわからない子はでてきます。
一度「英語わからない」モードに入ってしまうと、そこからは耳も心もふさいでしまって聞こうともしなくなります。
受験に対応できない
オールイングリッシュ授業では現行の英語入試問題に対応するのは難しそうですね。
昔ながらの読解力や語彙力・文法語法知識を問う問題は根強いです。
- 入試対策の英語
- 語学としての英語
と分けて対応すべきです。
とはいえ今後入試状況は大きく変わってきそうですけどね。
オールイングリッシュ授業を実現のために
ではオールイングリッシュ授業を実現させるためにはどうしたらいいのでしょうか。
答えは簡単、オールイングリッシュ授業のデメリットを補いながら授業ができたらいいんですよね。
なので上記のデメリットを解決しましょう。
・英文法の説明は日本語のほうがスムーズ
→黒板や電子黒板に日本語で書きながら説明してみてはどうでしょう。今はいろんなアプリがあるので、英文を黒板に写しながら書き込むのも簡単です。(学校の設備には差があるかも)
・教員が英語力に自信がない
→勉強あるのみ。とはいえ上述のようにオールイングリッシュ授業にそこまで高い英語力は必要ないです。英語の教員をやってるくらいの人なら、だれでもオールイングリッシュ授業は可能です。
ポイントは「定型表現の徹底」「簡単な表現の徹底」「ゆーっくり話す」「オーバーリアクション」です。
・理解できない生徒がやる気なくす
→これはオールイングリッシュ授業に限ったことではないですね。ついてこれない子・やる気がない子は必ずいます。休み時間なんかでできる限りサポートはしますが、全員を100%は無理です。
とはいえオールイングリッシュ授業が理解できなくてやる気がなくなっているなら、個別で日本語サポート入れてあげるのもアリ。
・受験に対応できない
→オールイングリッシュ授業で語学としての英語を学びながら、入試英文法に特化した授業をちゃんとやるなどの対策が考えられますね。
オールイングリッシュ授業やってみた
中学と高校、それぞれでオールイングリッシュ授業に挑戦してみてのざっくりした見解です。
中学
- オールイングリッシュだと英語がわからない子は聞かない
- 英語が多少わかる子も50分ずっと英語は集中力なくなる
- うまく乗せれば楽しく50分オールイングリッシュ可
- でも小学校とは違って「楽しむだけ」では無理
結論→初めのうち、特に文法項目は日本語がベター。慣れてきたらルーティン活動に英語もアリ。
英語と日本語のメリハリをつけて活動するのがよし。
高校(コミュニケーション英語)
- 文法が一通り終わっているので英語でも通じる
- ルーティン活動+ゆっくりめの英語で授業は進められる
- 文法はやっぱり日本語がベター
- 集中力を切らさないように工夫が必要
結論→文法項目以外は基本英語で進められる。
以上、あまりまとまっていませんが見解です。
今は高校のみでオールイングリッシュ授業を実践(できるだけ)しています。
あとは教員があきらめないことが大事ですね。
やっぱり日本語使っちゃうほうがお互いラクなので、疲れてるときなど使いそうになりますが、そこで折れずにどれだけしつこくオールイングリッシュで通せるかです。
オールイングリッシュ授業まとめ
オールイングリッシュ授業についてでした。
私はいろんな非ネイティブ国の英語教育事情を聞くことが多いのですが、どこの国も「英語の授業は英語が基本」と言っていますね。
日本では大学受験など、オールイングリッシュ授業の妨げになる要素が多いですが、それでもオールイングリッシュ授業の効果は高いので広まってほしいなと思います。
私自身試行錯誤しつつ実践してみて、まだまだ課題も山積みですが、少なくとも自分で実践してもいないのに「オールイングリッシュの授業に効果はない」とか言うような教員にはなりたくないです。
ではオールイングリッシュ授業の参考にしてくださいね。
ありがとうございました。
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